高齢者虐待防止研修の進め方|実施要件と職員の受講管理を解説
投稿日:2026.09.30
最終更新日:2026.09.30
ジョブメドレーアカデミー編集部
介護サービスでは高齢者虐待防止研修の実施と記録管理は欠かせません。年間実施回数はサービス種別で異なり、研修の未実施は介護報酬の減算につながる場合があります。本記事では、研修の実施要件と全職員の受講状況を効率的に管理する方法を解説します。

目次
高齢者虐待防止研修の実施要件
高齢者虐待防止法(正式名称:高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律)は、養介護施設の設置者や養介護事業者に対し、従事者への研修など虐待防止のための措置を求めています。介護保険サービスの運営基準でも定期的な虐待防止研修が定められており、2024年4月から居宅療養管理指導を除くすべての介護サービスで虐待防止措置が義務付けられました。
居宅療養管理指導においても2027年3月31日で経過措置が終了し、同年4月から虐待防止措置が義務化されます。
年間の実施回数はサービス種別によって異なる
定期研修の実施回数はサービス種別によって定められています。複数のサービスを運営する場合は、事業所ごとに必要な実施回数を確認してください。
実施回数 | 対象サービス |
|---|---|
年2回以上 | ・(介護予防)特定施設入居者生活介護 ・(介護予防)認知症対応型共同生活介護 ・地域密着型特定施設入居者生活介護 ・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 ・介護老人福祉施設 ・介護老人保健施設 ・介護医療院 |
年1回以上 | ・訪問介護 ・(介護予防)訪問入浴介護 ・(介護予防)訪問看護 ・(介護予防)訪問リハビリテーション ・通所介護 ・(介護予防)通所リハビリテーション ・(介護予防)短期入所生活介護 ・(介護予防)短期入所療養介護 ・定期巡回・随時対応型訪問介護看護 ・夜間対応型訪問介護 ・地域密着型通所介護 ・(介護予防)認知症対応型通所介護 ・(介護予防)小規模多機能型居宅介護 ・看護小規模多機能型居宅介護 ・居宅介護支援 ・介護予防支援 ・(介護予防)福祉用具貸与 ・特定(介護予防)福祉用具販売 |
研修の対象は管理者を含む全職員
研修は介護職員だけでなく、看護職員、相談員、事務職員、調理員など、事業所に所属するすべての職員を対象に実施します。常勤・非常勤を問わず、管理者の受講状況も記録してください。介護サービス情報公表制度の調査票でも、従事者と管理者の受講記録の有無を確認しています。
新規採用時にも研修の実施が必要
年度の途中で採用された職員も研修の対象です。年1回または2回の定期研修のみを予定していると、途中入職者への対応が漏れやすくなります。新規採用時の研修実施についても、年間計画の段階で位置づけておきましょう。
研修の未実施は減算につながる
虐待防止研修は、虐待防止検討委員会の開催、指針の整備、担当者の選任と並ぶ虐待防止措置の一つです。居宅療養管理指導、特定福祉用具販売、福祉用具貸与を除く介護サービスでは、必要な措置を講じていない場合、高齢者虐待防止措置未実施減算(所定単位数の1%を減算)が適用されます。虐待事案が発生していなくても減算対象となりますので注意してください。
なお、福祉用具貸与は減算の適用が2027年3月31日まで猶予されています。居宅療養管理指導と特定福祉用具販売は減算の対象外です。
高齢者虐待防止研修の進め方
研修を必要な回数開催しても、対象者の全員が受講できなければ教育の機会が行き届きません。ここでは、研修の実施から受講管理、記録までの具体的な進め方を説明します。
年間計画を立てて実施時期と対象者を決める
まずは自事業所に必要な定期研修の回数を確認し、年間計画に組み込みます。このとき以下の項目を明確にしておきましょう。
- 研修の対象者(管理者、常勤職員、非常勤職員など)
- 研修の実施日程
- 研修の担当者
- 実施方法(集合研修、動画研修、外部研修など)
研修内容は、虐待防止の基礎的な知識と事業所の指針に沿った対応を職員が理解できるよう検討します。研修資料を自作するか、既存の研修動画や外部研修を活用するかも、この段階で決めておくと準備がスムーズです。
新規採用者と欠席者の受講機会を確保する
新規採用者については入職時のオリエンテーションに研修を組み込み、受講日を記録します。集合研修の日に勤務がない職員や、急な業務対応で参加できなかった職員には、別日程での受講や動画による補講など、確実に受講できる方法を用意してください。
対象者の一覧と受講状況を照合し、未受講者がいる場合はいつ受講するかまで確認しておくと、受講漏れを防げます。管理者や非常勤職員の状況も含めて一覧で管理すれば、担当者の交代時にも受講状況を正確に引き継げます。
研修の実施内容と受講状況を記録する
研修を実施したら、開催日、テーマ・内容、使用教材、実施方法を記録し、受講者名簿と対応づけて保管します。外部研修や動画研修でも、誰がどの研修をいつ受講したか分かるようにします。
研修計画、実施記録、受講者名簿、教材をそろえておくと、運営指導の際に実施状況を示せます。研修記録の保存期間は自治体によって異なるため、最新の条例や案内を確認してください。
動画研修を活用して運用の負担を減らす
事業所だけで研修を運営する場合、教材の準備に加え、シフト調整による全職員への参加機会の確保や、欠席者への補講対応が必要です。動画研修を活用すれば、職員それぞれの勤務に合わせて同じ内容を案内でき、新規採用者や欠席者への対応も研修担当者の負担を増やさずに進められます。
オンライン動画研修サービスを利用すれば、誰がいつ受講したかをシステム上で確認できるため、受講状況の管理も効率化できます。
まとめ
高齢者虐待防止研修を進める際は、自事業所のサービスに必要な実施回数と対象者を確認し、管理者や新規採用者、欠席者の受講まで管理しましょう。研修の実施内容と職員ごとの受講状況を記録しておけば、次の研修計画にも生かせます。シフト調整や補講に負担がかかる場合は、動画研修の活用も検討してください。
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受付時間 9:30 〜 18:00(平日)
参考
・e-gov|高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律
・厚生労働省|指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準
・厚生労働省|高齢者虐待防止に資する研修・検証資料等
・厚生労働省|令和6年度介護報酬改定の主な事項について
・厚生労働省|高齢者虐待の防止/介護現場における安全性の確保、リスクマネジメント
・厚生労働省|介護サービス情報の公表制度
・厚生労働省|高齢者虐待防止措置未実施減算、身体拘束廃止未実施減算の取扱いに係るQ&A(Vol.1345)
・厚生労働省|介護保険施設等運営指導マニュアル
(最終アクセス:2026年9月29日)



